年を取れば取るほど怖いものばっか増えて保守的になるけど、それよりもっと根源的な恐怖は死に通じてるのかなと思った。
冷蔵庫の中身が空なのが怖い。お腹が空いたとき、自分の食べたいものが食べれないかもしれないと思うとついつい買ってしまう。ぎゅうぎゅうの冷蔵庫は安心感がある。
お気に入りの文房具を使い切ってしまうのが怖い。10周年を迎えた定番商品でさえ無駄遣いしないようにと奥の方へ仕舞い込みがち。酷いと廃盤になった時点で使うのをやめてしまう。普段使いには適度に思い入れのないものが一番だ。
締切が怖い。じわじわとタイムリミットが迫ってくると首が絞まって息が苦しい。まだ全然終わらないのに提出が迫る。部屋の中をぐるぐると声をあげ、お手本のような発狂をしてしまいがち。ちなみにその書類は自筆で署名し封筒で郵送するだけだったりする。しめて作業は10分。
人と再会するのが怖い。初対面なら成功しようが失敗しようがその場きりだと思えるけど、再会したら相手が一度成形した自分のイメージと戦わなければならない。話せば話すほどボロが出て、相手が下方修正していくのがわかる。もう見ないで。
何かを嫌いになるのが怖い。誰かの愛したものを愛せなければ、その人が見た幸福を一生体験できなくなる。とりあえず全部好きにならないと。どうせ溢れてしまうんだから。
ノートの一画目、無限の期待と希望がたった数mmで腐り落ちる。何冊も書きかけのまま、理想を捨てられない。
要するに私は「可能性の消滅」恐怖症です。誰かの絵より新品のキャンパスに夢焦がれ、愛しています。
今回は平和的にお題に参加したなきなすでした。